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「多文化共生の小径」 

 

//  多文化共生へのいざない //

 

朝顔の里の小径

小径は「こみち」とよみます。人びとが自然にかこまれて歩くほそいみち、人びとが考えながらすすむゆたかなみち、そして、人びとがつながるあたたかいみちです。
この地球上には、どこにも、そんな「こみち」があります。人びとは、そんな「こみち」を作って、歩みを続けてきました。
 この「多文化共生の小径」では、国籍や民族の異なるひとびとが、共に生きていくことについて、歩きながら、つながりながら、考えていきます。
 多文化共生に関心があるかた、多文化共生ってなんだろうと考えていらっしゃるかた、日本で生活しはじめたかた、ずっと日本で生活していらっしゃるかた、みんなで、ともに、「多文化共生の小径」を歩んでいきましょう。        

24TMC20年のあゆみ 立川市の多文化共生の10年

  • 2022年TMCは設立20周年を迎えました🌹これを記念して立川市の2012-2022年の多文化共生のあゆみをまとめました。ご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました💛

 
 
立川市の多文化共生の1-年
 
 
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23TMC20年のあゆみ第7回『防災』

  5つ目の事業は『防災』。災害の多い日本でくらす外国につながる方にとって、『防災』の活動は大切な活動です。 TMCでは『防災』の活動として2つの事業を行っています。
 ひとつは防災講座。外国につながるかたがたに「防災講座」を行ったあと、立川防災センターで、地震体験・消化体験・ AED体験などを行っています。
 もうひとつは毎年 9月に行われている『防災訓練』への参加。防災訓練に参加して、通訳を行っています。
 

 
 
 
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22TMC20年のあゆみ第6回幼少期からの多文化共生意識の啓発

 4つ目の事業は『幼少期からの多文化共生意識の啓発』です。 TMCでは 3つの活動をしています。
 ひとつは『世界に飛びだせ!立川っ子』。こどもたちに世界につながる『対話』の場を提供しています。主に世界ふれあい祭のなかで行ってきましたが、 2021年度第 18回は幸児童館で『トランスパレンスターづくり』を行いました。

 もうひとつは『図書館での絵本読み聞かすプログラム』。こどもたちに外国の絵本の読み聞かせを行っています。

 そして 3つ目は都立立川国際中等教育学校中学第 3学年国際教育講座『多文化共生について一緒に学ぼう』。 TMCの講師が『多文化共生』について対話的に学ぶ「ワークショップ」を提供しています。

 
 
 
                                               
 
 
 
                                           
                                             
 
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21TMC20年のあゆみ第5回多文化共生の地域づくり

 多文化共生の地域づくりとして TMCは、主に3つの事業をやっています。
 ひとつは『世界ふれあい祭』。これは 11月に昭和記念公園みどりの文化ゾーンで行われる「立川楽市」のなかで行われる世界の人々との『対話』の時間。世界の国々が参加し、その国のお国自慢の食べ物、工芸品などを紹介するブースが並び、世界の人々が集います。笑顔と対話がひろがる場です。 20202021はコロナ禍で「楽市」は開催されませんでした。 2019年第 16回世界ふれあい祭では、アイルランド、アフガニスタン、アンゴラ、イラン、ウガンダ、エジプト、スペイン、スリランカ、ニューカレドニア、ネパール、ペルー、ベラルーシ、メキシコの 13か国が参加し、楽しい対話がひろがりました。

 
  2つ目は『多文化共生のひろば』。これは多文化共生の喫緊の課題を考える場です。ここ 5年で考えてきた課題は、 2017年『多文化共生都市宣言シンポジウム』、 2018年『やさしい日本語』、 2019年『外国人さんいらっしゃい』、 2020年『外国ルーツの学び』、そして 2021年は ZOOMで『ことばから考える多文化共生』。『対話』をとおして考えています。

 そして 3つ目は『ワールドクッキング』。外国につながる方を講師に、その国の料理を共に作る『対話』の時間。 2021年度の第 20回ワールドクッキングは、はじめて ZOOMで開催しました。中国につながる講師が『北京ダック風春餅』を紹介しました。

 
 
 
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20回 TMC20年のあゆみ 第4回 生活支援

 生活支援では主に3つの活動を行っています。
1.外国人のための専門家による無料相談会
2.外国人相談窓口
3.通訳ボランティア研修
 
1.外国人のための専門家による無料相談会
 2022年度は2022101日(土)に第20回外国人のための専門家による無料相談会を実施します。在留資格、就労ビザ、帰化、仕事、年金、社会保険、こどもの教育、結婚、離婚、DV、その他の生活上の様々な問題について、専門家(弁護士・行政書士・社会保険労務士・税理士・社会福祉士・教育相談員など)が無料で相談に応じます。TMCの通訳ボランティアが相談者と専門家をつなぐ「架け橋」の役割をします。
 東京都ではどこかの自治体で毎月1回リレー形式で、外国人のための専門家による無料相談会を行っているので、「リレー相談会」と呼んでいます。
 2020年度からはコロナ禍で、予約制で行っています。毎年20件の相談があります。
💛場所  立川タクロス1階(立川市窓口サービスセンター)
 
 
2.外国人相談窓口
 TMCでは外国人およびその関係者おための無料相談窓口を行っています。
💛曜日・時間 祝祭日を除く毎週土曜日 午後1:00-4:00
       *予約制のリモート(ZOOM)相談も水曜日、土曜日に行っています。
💛場所    立川市女性総合センターアイム5階 第2相談室
💛対応言語
  第1土曜日 中国語    (行政書士)
  第2土曜日 英語・中国語 (行政書士・生活相談員)
  第3土曜日 英語     (行政書士)
  第4土曜日 中国語    (生活相談員)
  第5土曜日 英語     (生活相談員)
 
3.通訳ボランティア研修
 TMCには約70名の通訳ボランティアがいます。言語は 11言語です。中国語 21人、英語 25人、スペイン語 5人、ポルトガル語 4人、ハングル 8人、ロシア語 3人、タガログ語 3人、タイ語 1人、インドネシア 1人、フランス語 1人、ドイツ語 1人です(2言語の語学ボランティアもいます)。通訳ボランティアは毎年、研修を重ね、通訳の倫理、法律用語などについて学び続けています。
 
 
 
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19回 TMC20年のあゆみ 第3回 コミュニケーション支援

 
💛外国人の児童生徒のための日本語教室
  TMCでは 2022年度外国人のための児童生徒支援として日本語教室をはじめました。こどもたちが日本語力をつけ、つばさを広げて多文化共生社会に旅立っていきますようにというスタッフの願いをこめて「つばさ」という愛称をつけました。
「つばさ」は水曜日に開校しています。現在、小学生は  3:  00―  5:  00で、中国・ネパール・アメリカにつながる児童が、中学生  5:  00-  7:  00で、フィリピン・中国・ウクライナにつながる生徒が通ってきます。
 サポーターは3名でチームを組み、子ども1名に対し、サポーター  2名の体制で支援を行っています。サポーターは年齢層も多様で、高校生からシニア世代までいます。まさに多文化共生です!
 このほかに、立川市の小学校・中学校で放課後日本語教室も開催しています。

サポーターのみなさんとつばさの児童生徒たち


 
💛日本語教室
 立川市では立川国際友好協会 (TIFA)1992年の設立以来、 30年間、外国人市民のための「日本語教室」を開催しています。
 
 
 
 
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18TMC20年のあゆみ 第2回 立川市多文化共生都市宣言

 多文化共生の小径第 2回で『立川市多文化共生都市宣言』について綴りました。 TMC20周年にあたって、 20161219日の立川市多文化共生都市宣言について、ここで確認しておこうと思います。
 立川市は 2015年市民からの陳情を受け、多文化共生推進委員会で議論をしました。このとき、私は幸いにも委員を務めさせていただきました。委員で、どんな宣言文にしようかと熱心に話し合いました。「笑顔で交流?」「笑顔?」「笑顔がきらいな人はいないから・・・」など、ひとつひとつの言葉について、外国につながる委員、日本につながる委員で 、ことばのイメージをていねいに話し合いました。
その結果、このような宣言文になりました。宣言文は総務省の多文化共生の定義( 2006年)に比べてやさしい文になっています。総務省の多文化共生の定義を確認しておきます。
 『多文化共生とは国籍や民族の異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと』
 なお、宣言文が 20161219日になっているのは、この日がこの宣言文が市議会で認められた日だからです。それから 6年が経ちました。
 
   

立川駅北口に掲げられた多文化共生都市宣言を伝える横断幕

多文化共生都市宣言を伝える「たちかわ広報」


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『立川市多文化共生都市宣言』
 わたしたちは、国籍や民族の文化のちがいを尊重し、共生する地域社会の実現を目指して、ここに立川市を「多文化共生都市」とすることを宣言します。
1 思いやりの心をもって、互いの文化を理解し尊重します。
1 国際的な視野をもち、みんなで協力して、多文化共生のまちをつくります。
1 ともに地域社会の一員として、笑顔で交流します。
1 やさしい気持ちで人や文化を受け入れ、多文化共生の輪をひろげます。
2016(平成 28)年 1219日  立川市
 

4か国語(日本語・英語・中国語・ハングル)


 
 
 
Tachikawa City Multicultural City Declaration"
We aim to develop a community where everybody can live together, respecting the difference of nationality, race, and culture. Hence, we hereby declare Tachikawa city as an “Multicultural city.
  1. We will accept and respect each culture with sympathetic heart..
  2. We will create Multicultural(Tabunka-Kyousei)city by widening our international horizons and cooperating together.
  3. We will interact with an open heart as a member of the local community.
  4. We will expand the wave of Multicultural (Tabunka-Kyousei)city, accepting people and culture with tender feelings.

19, December, 2016  Tachikawa City
 
 TMCはこの宣言文を語学ボランティアの方々などの協力で14言語に訳しました。この宣言文を大切に、活動を続けていきます。
 
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17回 TMC20年のあゆみ 第1回 立川にかかわる多文化共生団体

  TMCは今年 2022年、 NPO設立 20周年をむかえます。

TMCのロゴ


TMC広報委員会では 10周年から 20周年の 2012-2021年をふりかえり、動画を作成しました。
多文化共生の小径では、7回にわたって、立川市の多文化共生の取り組みについての 10年の歩みふりかえり、紹介します。
1回は、立川市で『多文化共生』に取り組んできた団体を紹介します。
立川市は 1959年、アメリカ合衆国カリフォルニア州のサンバーナーディノ市と姉妹提携を結びました。東京都では初めての海外との姉妹提携でした。全国では 27番目の姉妹都市提携でした。なお、日本で初めて姉妹提携を結んだ市は長崎市で、 1955127日アメリカ合衆国ミネソタ州セントポール市です。広島市は 19596月にアメリカ合衆国ホノルル市と提携を結んでいます。それ以来、立川市 /サンバーナーディノ市姉妹市委員会では毎年 45名の高校生交流を行ってきました。 7月にはサンバーナーディノ市か

ホームステイのフェアウェルパーティー

らの高校生が立川市の高校生の家にホームステイをし、 8 月には立川市の高校生がサンバーナーディノ市の高校生の家にホームステイをしています。これ まで 400 名以上の高校生の交換留学が行われています。
 
 1992年には TIFA(立川国際友好協会)が設立され、それ以来 30年以上、外国人市民のため

南砂小学校での交流

の『日本語教室』を開催しています。
 
 
 
 また、 1996年には NPO立川ニューカレドニア交換支援ネットワークが
設立され、太平洋に浮かぶ島ニューカレドニ

中学校の交流


(『天国にいちばん近 い島』)の中学生との交流を行っています。
 

JNFC活動報告


 2000年には NPO日本ネパール友好協会 (JNFC)が設立され、
ネパールとの友好を続けています。
 
 
 
 
 
 このような多文化共生の地道な取り組みのうえに、
立川市は 201712月、『多文化共生都市宣言』を行っています。

2017年『多文化共生都市宣言』横断幕


 
💛キーワード
 出会う・まじわる・協働する
 
💛立川市の多文化共生にかかわる団体
  • TMC(NPO法人たちかわ多文化共生センター)

2001年設立。立川市の多文化共生のための活動を行っています。

  • TIFA(立川国際友好協会)

1992年設立。外国人市民のための「日本語教室」を開催しています。

  • JNFC(NPO日本ネパール友好協会)

2000年日本とネパールの友好を促進するために設立。ネパールの教育支援などにあたっています。

  • NPO立川ニューカレドニア交流支援ネットワーク

1996年設立。立川市の中学生とニューカレドニアの中学生の交流支援を行っています。
ニューカレドニアは太平洋に浮かぶ島、フランスの領土でした。日本では森村桂の『天国に一番近い島』で有名になりました。

  • 立川市/サンバーナーディノ姉妹市委員会

1959年、立川市はアメリカ合衆国カリフォルニア州のサンバーナーディノ市と東京都では初めて、全国では27番目の姉妹都市提携を行いました。それ以来、高校生の交換留学が続いており、400名以上の高校生がホームステイ相互交流を行っています。
 
💛動画の構成
0.立川市全容
 多文化共生都市宣言(2017)
1. コミュニケーション支援
  1)外国人の児童生徒支援:日本語教室『つばさ』
  2)TIFA日本語教室
  3)TMCフォリナーズ・ニュース(FN)
2.生活支援
  1)外国人のための専門家による無料相談会
  2)外国人相談窓口
  3)通訳ボランティア研修
3.多文化共生の地域づくり
 1)世界ふれあい祭
   2)多文化共生のひろば
   3)ワールドクッキング
   4)TIFAえんがわ
   5)NPO日本ネパール協会(JNFC)
4.幼少期からの多文化共生意識の啓発
  1)世界に飛びだせ!立川っ子
  2)図書館での本の読み聞かせ
  3)都立立川国際中等教育学校
  4)NPO立川ニューカレドニア交流支援ネットワーク
  5)立川市・サンバーナーディノ市姉妹市委員会
5.防災
  1)防災講座
  2)防災訓練
 
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16回 2年ぶりに留学生が少しずつ戻ってきました!

やっと来日しクルーズを楽しむ留学生


  2020年、 2021年とコロナの水際対策で、日本は留学生の来日を許可しなくなりました。日本で学ぶ留学生は毎年 1割減となり、せっかく達成された留学生 30万人計画も 24万人まで減ってしまいました。
  2022年4月から、日本語教育の現場に少しずつ、留学生が戻ってきました。本当に少しずつですが、戻ってきてくれた留学生と大切に対話をしていきたいと思っています。
 
 日本の留学生政策が明確に出されたのは、今から 40年前、 1983年のことです。当時の留学生数は 1万人に満たない実情でした。 19835月に中曽根康弘首相(当時)がシンガポールを訪問した際、日本に留学した経験をもつシンガポール人と面談し、「私たちは自分の子どもは日本に留学させたくない。自分の子どもにあんなつらい体験はさせたくな」という声を聞き、愕然としたと言います。中曽根首相は帰国後すぐに留学生政策の見直しを行い、同年 8月に「留学生 10万人計画が出されました。 2000年までに日本の留学生の数をフランス並みの比率(全学生の 4.5%)、 10万人にしようという計画でした。そのために「留学生のアルバイト解禁」「入国手続きの簡素化」などが行われ、留学生が 10万人に達したのは、当初の計画より 3年遅い、 2003年でした。 2003年に留学生は 109508人になりました。
  2008年には「日本を世界より開かれた国にし、アジア、世界との間の人、モノ、カネ、情報の流れを拡大する「グローバル戦略」を展開する一環として、 2020年を目途に留学生受け入れ 30万人を目指す」とする留学生 30万人計画が出されました。そして、日本留学への動機づけ、日本留学の円滑化、魅力ある大学づくり、安心して勉強に専念できる環境への取り組み、日本社会のグローバル化(留学生の雇用の促進)を目指し、取り組みが進められ、予定より 1年早く、 201951日時点で、外国人留学生は 312214人になり、 30万人を超えたと発表されました。
しかし、 2019年からはコロナウイルスの感染拡大の影響で来日できなくなるケースが相次ぎました。 2020年、 2021年と留学生は毎年 1割減となり、 20215月現在で外国人留学生は 242444人となり、 2020年に続いて、 13.3%減少したと報告されています。
20215月時点での外国人留学生の内訳
 大学の正規課程 (73715) 前年比 7.7%
 日本語教育機関 (4567) 前年比 33.4%減 
出身国・地域別の留学生数
 中国    114255( 6.2%減)
 ベトナム  49469(20.5%)
 ネパール  18825(21.6%)
                      日本学生支援機構による
 
日本に入国できたのは 2020年の 12月と 2021年の 1月のわずかな時期でした。 20224月になって、水際対策が緩められ、少しずつ留学生が入国しています。「鎖国」と報道される日本の現状。多文化共生のために取り除いていかなければならない「制度の壁」「ことばの壁」「こころの溝」。
21世紀に、ともにコロナを経験した地球人として、共生こそが平和をもたらすというリベラリズムにたって、対話的取り組みを重ねていく信念と知恵が求められていると思います。

お台場は人気のスポット


 
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15回外国につながる児童生徒の日本語教育を考える ③「ことばの力」とは


13回の①では支援者の「寄り添う姿勢」について考えました。そのうえで第 14回②では「書く」ことについて考えました。
この③では、日本に住む外国につながる児童生徒の「ことばの力」について考えます。このコラムで「ことば」とひらがなに開いて書く場合は、日本に住む外国につながるこどもは、日本語の言語知識がなくても、母語の言語知識、あるいは第一言語(こどもは自分の言語だと認識しているのが母語ですが、それとは別に生まれてから社会生活で使ってきた言葉がある場合は第一言語と呼びます)の言語知識があり、こどもがもっているこれらの言語知識を総合した「ことば」を意味しています。これは第 7回で考えた、「人はそれぞれ、その人固有の言語知識をもっていて、それぞれがその役割を果たしている」という「複文化主義」「複言語主義」の考え方によっています。なお、このコラムで「言葉」と漢字で書く場合は、個別の語彙・文法を指しています。
「ことばの力」の特徴は次の2つです。
1に「ことばの力」は、相手との意味世界を共有できる力です。場面や相手に応じて、相手との意味世界と「やりとりする力」 (interaction)です。相手との意味世界を言葉でつなぐ力、文脈をよみとり、場面や相手や伝達方法によって適切な言葉を自分の辞書(認知構造)のなかから選び出してくる力です。言葉についての知識があるだけでは「ことばの力」にはなりません。相手との意味世界を共有する力が「ことば」を結果します。ですから、日本語支援員はつねに、こどもと意味世界を共有して、こどもが他者の意味世界を理解できるように導くことが大切です。
第2に「ことばの力」は、つねに成長・変容していくということです。「ことばの力」は日本語だけではなく、こどもがもっている母語の言語知識、第一言語の言語知識、(それ以外の言語についての言語知識があればそれも含めて)が総合的に「ことばの力」を形成しています。複言語・複文化的なものであり、常に成長・変容しているものです。川上 (2021)は、「こどもの日本語の力は動いている」として、3つの性質、動態性・非均質性・相互作用性をもつと言っています (p.17)
動態性とは「日本語の力が変化している」という性質、非均質性とは「日本語の 4技能(聞く・話す・読む・書く)が同じでない」という性質、相互作用性とは「場面や相手によって日本語の産出が異なる」という性質です。
こう考えてくると、支援員の「寄り添う姿勢」が本当に大切であることがわかってきます。
 
参考・引用文献
川上郁雄 (2021)JSLバンドスケール 子どもの日本語の発達段階を把握し、ことばの実践を考えるために 小学校編』(明石書店)
 
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14回 外国につながるこどもたちの日本語教育を考える ②「書く」動機づけ

「書く」をむずかしいと考えていませんか。そういう支援者の「素朴理論」(「自分の経験をもとに信じている理解の仕方」を心理学では素朴理論と言います)は、こどもたちに、確実に、伝わります。「書く」はむずかしいと考えてしまうと、書くことがきらいになる可能性が高くなります。こどもたちが「書く」ことにしり込みしてしまうのは、支援者の「素朴理論」が伝わってしまった結果です。
 実は、「書く」は楽しい作業です。古今和歌集の序文には、つぎのように綴られています。
「やまとうたは ひとのこころを 種として よろずの言の葉 とぞなれにける」
古今和歌集の昔から、ひとびとは、「書く」を楽しんできました。
 
「書く」は、伝えたいこと、表現したいこと(「こころのたね」)を「ことば」として他者に伝える作業です。「書く」が「こころのたね」を「ことば」として他者に伝える作業であることを、こどもたちに体得してもらうためには、支援者がこどもたちに寄り添い、こどもたちとの関係性を大切にし、支援者自身が、こどもたちの「こころのたね」を知りたいと思う気持ちをもつことが大切です。
それではこどもたちにとっての「こころのたね」とはなんでしょう。
 「こころのたね」は、ひびの出来事です。ひびの発見です。そして、ひび考えたことです。ひびの生活がゆたかであれば、「こころのたね」もゆたかになります。寄り添ってくれる他者がいれば、伝えたいという気持ちが自然に湧いてきます。
「こころのたね」を自分で「ことば」にして、寄り添ってくれる「おとな」に伝える。よりそってくれる「おかあさん」「おとうさん」に伝える。それはこどもにとって、新しい体験であり、わくわくする体験です。
「書く」活動について、支援者( S)とこども( T)の対話的かかわりをみてみましょう。
S:こども   T:支援者
T「Sちゃん、きのう、なにしたの?」
S「せんせいあのね。きのう・・・」

Sちゃんのおひなさま


T「きのう?」
S「おかあさんと・・・」
T「おかあさんと?」
S「お・ひ・な・さ・ま・・・」
T「ああ、おひなさま・・・かざったの?」
S「そう、おひなさま、かざったの。おかあさんが、きせつでは、はるだから、って。」
T「ああ、りっしゅんすぎたものね。Sちゃん、うれしかったのね」
S「うん、きれいで、うれしかった・・・」
 
T「じゃあ、Sちゃん、そのことをおかあさんに書いてみましょう。」
 
そしてSはおかあさんへの「れんらくちょう」に、「おかあさん、あのね」ではじまる、伝える日記を書きました。
 
Sちゃんの作文
「おかあさん、あのね。きのう いっしょに おひなさま かざったでしょ。きれいで、うれしかった・・・」
 
支援者は
T「そう、すばらしい Sちゃん。おかあさん、やさしいね。おかあさん、よろこぶよ。まいにち、あったこと、これから、おかあさんにつたえたいことを、『おかあさん、あのね』で書いていきましょうね」
 
心理学の動機づけを説明する「自己決定理論」では、人間のもつ根源的欲求である、自律性への欲求がみたされ、コンピテンス(できるという感覚)欲求がみたされ、関係性の欲求がみたされるとき、モチベーションが高まるとされています。
日々の、「自分で書きたい」(自律性の欲求の充足)、「自分で書けた」(コンピテンス欲求の充足)、「自分にとってたいせつな他者とかかわれた」(関係性の欲求の充足)の体験が、書くことへのモチベーションを高めていくのです。
 
参考文献
鹿毛雅治( 2022)『モチベーションの心理学』(中公新書)
 
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13回 外国につながるこどもたちの日本語教育を考える ①支援者の基本的な姿勢―寄り添う姿勢

多文化共生の小径第4回では『外国人児童生徒のコミュニケーション支援』について考えました。そこで立川市第4次多文化共生推進プラン( 2020年立川市、 p.20)で『外国人のための日本語教室の開催』が重点項目として取り上げられていることを報告しました。また第 11回では 2020年に日本語教育推進法が成立し、 2021年には日本語教育推進の6つの具体的な対策がたてられ、その中の重要な対策として、外国人児童・生徒の日本語支援が定められてことを報告しました。
TMC2021年度から外国人児童生徒の日本語支援に向けて準備を進めてきました。 2022年度に、いよいよ、具体的な支援に動き出します。本年度は立川市がコロナ対策に追われていることもあり、市からの委託事業という位置づけではありませんが、立川市で日本語教室を運営している立川国際友好協会( TIFA)と協働して、歩み始めます。
そこでこの多文化共生の小径では、外国につながるこどもたちの日本語教育についてシリーズで考えていこうと思います。まず①は支援者(外国人の児童・生徒の指導にかかわる人を本シリーズでは支援者と呼びます)の基本的な姿勢について考えます。
それは「寄り添う姿勢」です。「寄り添う姿勢」とは、一人ひとりの子どもを大切にし、こどもの「こころ」を受け止め、こどもの「こころ」を育む姿勢です。
人は、知りたいことがあるとき、「こころ」は知りたいことに向かってひらかれていきます。また、受け止めてくれる他者、「寄り添う姿勢」をもつ他者がいるとき、その人とかかわりたいと感じ、「こころ」は他者に向けてひらかれていきます。そして、その結果として、「知りたいこと(対象)」「かかわりたい人(他者)」との「ことば」が生まれます。「ことば」とは、対象の意識化、他者の意識化の結果として生じる、かかわりあいの過程で生じるものです。
 
支援者とこどもとのかかわりあいを見てみましょう。これは節分の次の日 (2022年2月4日 )の授業での一コマです。        S:こども   T:支援者
支援者1 
S: きのう、たべる。
T: そう。なにたべたの?
S: え・ほ・う・・・
T: え・ほ・う?ああ、えほうまき、ね。きのうはせつぶんだから。

S:そう、え・ほ・う・ま・き。
T: どこで、食べたの?
S: おとうさんが、つくった。
T: そう、おとうさんがつくってくれたのね。よかたったね。
S: うん、すごく、よかった・・・
 
支援者2 
   S: きのう、たべる。
   T: きのう、たべました、でしょ。
    S: あ、きのう、たべました。
   T: なにをたべましたか。
   S: なまえ、わかりません。
   T: そうですか。なまえ、わかりませんか。
   S: ・・・
 
 支援者1はこどもに敬意をもって、子どもの発言を受け止め、こどもの「こころ」をひらいていこうという姿勢を持っています。「寄り添う姿勢」です。その結果、こどもの「こころ」がおとなに届いています。こうして他者に「ことばが届く体験」をした子どもは、ことばにひらかれていきます。ことばを発すれば届くという期待、ことばを発すれば相手の「こころ」がわかるということばの価値に気づいていきます。期待と価値が「ことば」を生みます。
これに対し支援者2は、子どもの誤用を正しい日本語にしようという姿勢で指導しています。こどもの「こころ」を受け入れる姿勢、子どもに寄り添う姿勢の前に、指導者であらねばならない、正しい日本語を教えなければならないという姿勢で子どもに対しています。これでは子どもにとっては「ことばが届く体験」にはつながりません。
人間の精神性の発達を社会とのかかわりで深く洞察した社会心理学者エリクソン (1902-1994)によれば、人間の一生の過程は自我同一性(アイデンティティ)の獲得過程であるといいます(エリクソン『ライフサイクル、その完結』)。エリクソンによれば、子どもの時期は、自律性の感覚が獲得する時期で、自律性の感覚がもてないと恥の感覚をもってしまうと言います。
支援者1の姿勢をもった支援者との出会いをとおして、こどもは自分を認められたこと、社会的承認を得たことから、こどもは自尊感情を高め、自律的にことばを使うことに動機づけられていきます。
逆に、支援者2の姿勢を持った支援者からは、自分はできない、自分は劣った人間なんだという「恥」の感覚をもってしまう可能性があります。
こう考えると、「寄り添う姿勢」をもった支援者によって与えられた「ことばが届く体験」が、いかに大切かがわかってきます。
 
参考文献
倉八順子 (1999)『こころとことばとコミュニケーション』(明石書店)
倉八順子 (2021)『「日本語教師」という仕事 多文化と対話する「ことば」を育む』(明石書店)
河上郁雄( 2020)『 JSLバンドスケール 小学校編』(明石書店)
 
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12回阪神淡路大震災から27年目の日に―災害時のやさしい日本語

 この多文化共生の第6回で「やさしい日本語」について考えました。きょう、1月 17日は阪神淡路大震災から 27年目の日でした。この震災は 6000人以上の死者、 4万人以上の負傷者を出した大災害でした。寒かったときでもありました。外国人も数多く被災しましたが、日本語と英語以外では情報が発信されなかったため、これらの「ことばの壁」に阻まれた人は、震災で家などに住めなくなったうえに、それ以後も必要な情報を得られなかったので二重の被災にあったと報告されました。この震災をきっかけとして、災害時にわかりやすい日本語、すなわち「やさしい日本語」を使う必要性が認識され、研究されるようになりました。
「今朝 546分ごろ、兵庫県の淡路島付近を震源とするマグニチュード 7.2の直下型の大きな地震があり、神戸と洲本で震度6を記録するなど、近畿地方を中心に広い範囲で、強い揺れに見舞われました」
 これは当時ニュースで報道された文です。
災害時に、外国人にとって必要な情報は何でしょうか。外国人に寄り添う気持ちを伝え、外国人に必要な情報をわかりやすく伝え、外国人の命を守るにはどのような日本語にすればいいのでしょうか。
寄り添う気持ちを伝え、わかりやすく、身を守ることができる日本語―これが災害時のやさしい日本語です。そのようなやさしい日本語の必要性が認識されたのが、 1995年の阪神淡路大震災でした。また、この阪神淡路大震災は、ボランティアの必要性が意識され、ボランティア精神が根付いていくことにもなりました。そしてボランティアが活動できるように、 2001年にはNPO法人法が成立することになります。
さて、先ほどのニュースで報道された文を「やさしい」日本語にするにはどうすればいいでしょうか。
やさしい日本語にするには6つの基本のルールがあります(第 6回で触れましたが)。
1.簡単なことばを使う
2.漢字には振り仮名をつける
3.外来語を使わない
4.単文を使う
5.長い文章は箇条書きにする
6.あいまいな表現をさけ、明確に述べる
 
「きょう、朝、 546分ごろ、兵庫、大阪、などで、とても大きい、地震がありました。地震の中心は、兵庫県の淡路島の近くです。地震の強さは、神戸市、洲本市で、震度が6でした」
 研究によると、このように書き換えたところ、理解率が約 30%から 90%にあがったということです(詳しくは庵 2016,p.36-37)。
この 27年の間に、やさしい日本語についての研究が進み、やさしい日本語を使える日本人も増えました。そしてやさしい日本語のツールも増えました。多文化共生にかかわる私たちは、やさしい日本語の作り方を身につけてやさしい日本語で話したいと思います。
 
💛やさしい日本語に関するアプリ・参考文献
1.「やさにちチェッカー」
その日本語がどのくらい「やさしい」かをチェックしてくれるアプリです。 語彙・文法・長さ・硬さ・漢字・総合判定がでます。
  http://www4414uj.sakura.ne.jp/Yasanichi1/nsindan/
2.出入国在留管理庁・文化庁 (2020)「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」
 在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインが書かれていて、練習問題をついています。ステップ①日本人にわかりやすい文章、ステップ②外国人にもわかりやすい文章
3. 志賀玲子・  庵功雄・  岡典栄志村ゆかり宮部真由美(2020)『やさしい日本語表現辞典』(丸善出版)
  HP活動報告の「やさしい日本語お願いします 実践編」の講師、志賀玲子さんも執筆者の一人です。
4.庵功雄 (2016)『やさしい日本語―多文化共生社会へ』岩波書店
5.聖心女子大学グローバル共生研究所『やさしい日本語カルタ』
  日本語日本文学科4年 生駒優海作
   やさしい日本語カルタ | 聖心女子大学グローバル共生研究所 (u-sacred-heart.ac.jp)
  例えば『ひ』 取り札表は「避難場所」 
                                         裏(優しい日本語)「地震や災害のとき逃げる場所」

2022年1月16日快晴の昭和記念公園

2022年1月17日満月とスカイツリー


                                           
                               
 
                                               
 
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11回 日本の外国人への教育政策の課題

 第10回多文化共生の小径で、日本の社会統合政策の課題について考えました。各国の社会統合政策の国際比較、MIPEX(移民統合政策指数)で、日本の教育政策が低くなっていることを報告しました。今回は、なぜ教育政策が低くなっているかについて考えます。
 
💛なぜ.教育政策が国際社会に比べて低い評価になっているか
1.日本に住む外国人児童・生徒で日本語指導が必要な児童生徒に十分な日本語教育が行われていない「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査2019(mext.go.jp)
 
2.不就学の児童生徒、無支援状態の児童生徒が2.2万人いる(2019年調査)。
  外国人児童生徒18人に一人の担当教員を増員しているとしているが、対策がおいついていない。(毎日新聞取材班編(2020)『にほんでいきる』明石書店 p.104
 
3.外国人児童生徒の就学義務がない(2019年)
  日本・中国・韓国は就学義務がない。教育を受ける権利はある。
   日本語教育が必要な外国人児童生徒は全国にいます。特に定住者という在留資格で来日する日系3世は愛知県トヨタなとの工場があるところで働いています。定住者は家族帯同で来ますから、工場のある土地で、児童生徒の日本語教育が必要になります。
💛この現状に対して、2020年『日本語教育推進法』が成立しました。日本語教育に関する法律が制定されたのは画期的なことでした。
その後、具体的な検討が続けられています。6つの対策と現状(202112月末)を説明します。
 

  • 公立校における日本語担当指導教師の増員や日本語指導補助員の養成

🌹表7 日本語指導が必要な児童生徒に対するに保護指導の内容等について

  • 日本語指導が必要な児童生徒の対象であるかの判断について
  • 日本語指導が必要な児童生徒を対象に行っている指導内容について
  • 「特別の教育課程」による指導を行っていない理由

 
【資料3】外国人児童生徒等教育の現状と課題 (mext.go.jp)令和35
 
2)日本語担当教師を養成するための研修の充実
 
3)就学状況の把握や保護者への情報提供
 
4)外国人生徒を対象とした高校入試での特別定員枠の設置促進
🌹外国人生徒を対象とした高校入試での特別枠の現状 例えば東京都を例にみてみます。
東京都:8校     4月入学:150人  9月入学:25人  2021年度
  飛鳥高校・田柄高校・竹台高校・南葛飾高校・府中西高校・杉並総合高校・六郷工科高校・国際高校
受験資格
 ①保護者といっしょに住んでいること
 ②外国籍(二重国籍でも可)
 ③1~3のどれかにあてはまる
  1.外国で9年の課程を修了
  2.日本で外国人学校の9年の課程を修了
  3.日本の中学校を卒業(日本に来て3年以内)
入試方法
  ①面接 ②作文
  *英語が日本語かを選ぶことができます。
  *日本語作文の題目だけ、ふりがなをつける措置を申請できます。
 
 
 5)全都道府県・政令市に少なくとも1校の夜間中学の設置
🌹現状は東京には8校(墨田区立文花中学校・大田区立糀谷中学校・世田谷区立三宿中学校・荒川区立第九中学校・足立区立第四中学校・葛飾区立双葉中学校・江戸川区立小松川第二中学校・八王子市立第五中学校)です。

  • 学ぶ人たち:義務教育を修了できなかった人・諸事情により中学校で十分に学べなかった人・国籍も多様
  • 学ぶ内容:中学校の9教科
  • 時間:夜5時半―9時 40分の授業4コマ行うところが多い
  • 勉強以外にも遠足や修学旅行など楽しい行事がある

 
 東京以外の全国では2021年4月現在21市に設置されている。
 
6)国家資格「公認日本語教師(仮称)」の設置
🌹「公認日本語教師92895901_01.pdf (bunka.go.jp)
 
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10回 外国人の社会統合政策の課題―移民統合政策指数(MIPEX

 多文化共生のためには、日本に住む外国人が制度上、日本社会に統合されていることが大切です。それでは、世界の国々と比べて、日本の社会統合政策はどのように位置づけられるのでしょうか。今後、日本の社会統合政策の取り組むべき課題はなんでしょうか。
 この課題を考えるうえでは、移民統合政策指数( Migrant Integration Policy Index: MIPEX)が参考になります。移民統合政策が指数化され、国際比較が可能になったのは、 21世紀になってからで、第 1回の調査は 2004年でした。この時は EU加盟国 15国が参加し、統合指数が発表されました。その後、順次、国を増やして行われるようになりました。第 2回は 2007年で 28か国、第 3回は 2011年で 36か国(日本も加わりました)が参加、第 4回は 2015年で 38か国が参加、そして第5回目は、 2020年( MIPEX2020)で 52か国が参加しました。
MIPEX2020の特徴は、各国の統合政策を 1.基本的権利 (basic rights)2.平等な機会 (equal opportunities)3.安定した未来 (secure future)の次元に整理したこと、その3つの次元から、各国の政策を、 1.包括的な統合 (comprehensive integration)2.書類上の平等 (equality on paper)3.一時的な統合 (temporary integration)4.統合なき受け入れ( immigration without integration)の4つのグループに分類したことです。
日本の政策はどうだったのでしょうか。日本は 4.統合なき受け入れ、に分類されました。
総合的な評価、および、 8つの政策分野(労働市場、家族呼び寄せ、教育、政治参加、永住、国籍取得、反差別、保健)について政策目標をもうけ、100点満点で指数化しています。
総合的な評価では、スウエーデンが 1位( 86点)、フィンランドが 2位( 85点)、ポルトガルが 3位( 81点)以下、④カナダ⑤ニュージーランド⑥アメリカ⑦ノルウエー⑧ベルギー⑨オーストラリア⑩ルクセンブルクでした。日本は 35位( 47点)です。
 日本の評価は、分野別に見ると、労働市場 59点、家族呼び寄せ 62点、教育 33点、政治参加 30点、永住 63点、国籍取得 47点、反差別 16点、保険 65点です。保険、永住、家族呼び寄せが比較的高く、反差別、政治参加、教育が低い評価となっています。
なぜ教育が低くなっているかについては、次回の多文化共生の小径で考えます。
  

たましんRISURUの2021年の電飾 このRISURUにTMCの事務局があります

                        20211224日  JK
 
参考文献
移民統合政策指数 (MIPEX2020)  https://www.mipex.eu/
山脇啓造 (2021)「一般財団法人自治体国際化協会 コラム多文化共生 2.0の時代第 33回移民統合の国際比較 
 

 第9回 都立立川国際中等教育学校・付属小学校

 立川市にある都立立川国際中等教育学校は、都立の中高一貫教育校で唯一、校名に「国際」を冠した学校です。20084月開校、2022年度には付属小学校も開校し、小中高一貫教育校となります。応募者1797人に対し、58人が合格し、競争率は30.98倍だったことでも話題となりました。それも、学びの目標とカリキュラムを見れば、もっともだと感じます。
「国際」を軸として、12年間の一貫した目標をたて、その目標を達成するために12年間の教育カリキュラムが綿密に設計されています。
 学びの目標に基づいた学校の特色は3つです。
1.探究的な学び:考える方法を知り、根拠に基づいて思考する力の向上
 💛教科等の授業で実践する探究的な学び
 💛独自の探求プログラム:IBLinquiry based learning)探求12
 
2.語学力とそれを支える言語能力:世界で通用する語学能力とそれを支える言語能力の向上
  💛語学力:英語教育のゴールはアカデミックな英語力
     英語はツール重要なことは発信する内容
     内容と言語の統合(CLIL: content language integrated learning 的な学習)
 💛言語能力:発信すべき内容の充実
 体験と言葉をつなぐ・論理的な思考・多面的に追求・批判的な思考
3.学びを実践する学校行事グランドデザインに基づく学校行事の充実
💛授業で学んだことを実践したり、成果を発表したりする場
💛自立に向けて体験する場
 
どんな人が育っていくのか、本当に楽しみです。
TMCは1223日に中学3年生120名に向けて「国際教育講座」を行います。120名を2つのグループに分け、2サイクルで行います。講師は、中国出身で、日本で大学院を卒業し、日本で活躍しているTMC会員の女性と、40年近く留学生の日本語教育を実践し、多文化共生の実践的研究を行っている私(J.K.)が担当します。
当日のPPTを添付します。多文化共生.pptx
 

 第8回 「安全を保つための閉じた社会」から「安全を保ちながら開かれた多文化共生社会へ」

 出入国在留管理庁から在留資格の事前認定を受けながら、新型コロナウイルスの水際対策のために来日できないでいる外国人は 202110月1日時点で約 37万人にのぼっていました。 2020年1月以降に認定証明書を交付された 57万8千人のうち、 65%が来日できない状態でした。特に、 2021年1月以降、海外での変異ウイルスの流行などを受けて、入国制限が強化され、来日できない外国人の 7割が技能実習生や留学生です。海外では経済再開を見据えて、入国制限を緩和する動きが相次ぐなかで、原則としてすべての国からの入国を拒否する日本は、「閉じた社会」というイメージを与えていました。
 
政府は 118日水際対策の緩和を発表しました。所管省庁の事前
の審査と受け
入れ責任者の責任の下で行動管理等を行うことを前提に、 14日間の自宅等待機期間内の行動制限の緩和措置及び外国人の新規入国制限の緩和措置が実施されることになりました。
受け入れ責任者が 6つの書類( 1.申請書、 2.誓約書、 3.活動計画書、 4.入国者リスト、 5.旅券、 6.接種証明書)を準備し、所轄官庁に提出し認められた上で、入国が可能になります。入国後は、受け入れ企業、大学、学校が、行動管理の責任を負います。入国者は待機期間中(3日~ 14日)、待期施設等で待機を行い、原則として、待機している部屋から出ることはできません。受け入れ責任者は管理責任を問われます。来日できるのは、現在のところ、一日に 3500人です。
それでも、長い間、外国人の新規入国が認められていなかった状態
から、大きな進歩です。「安全を保つための閉じた社会」から「安全を保ちながら開かれた多文化共生社会へ」
多文化共生社会を生きる私たちは、日本政府が出した実施要領を踏まえ、ルールを守り、前進していきましょう。私たちに智恵と勇気が求められています。
 

参考文献
内閣官房副長官補室・法務省・外務省・厚生労働省 (令和3年 11月5日 )「水際対策強化に係る新たな措置 (19)実施要領」
日本経済新聞( 20211021日)「外国人来日足止め 37万人―閉じた日本際立つ」
日本経済新聞 (20211110)「入国緩和に手続きの壁― 13500人、起業に不満」
 
 2021/11/13 J.K.

第7回  多文化共生社会の実現のために―複文化主義・複言語主義という考え方

 
 多文化共生社会の実現のためには、どのような心性・考え方を身につける必要があるのでしょうか。
多文化共生社会とは、一人ひとりが自分の文化・言語に誇りをもち、同時に、隣人の言語・文化を尊重し、相互理解を深めていく社会です。そこには、社会に住む個人が幸福であることが、国家を超えたコミュニティの発展につながっていくという理念があります。この理念の実現のためには、複文化能力・複言語能力を身につける必要があるとして、EU(欧州連合)は、複文化主義に基づいた複文化能力の育成、および、複言語主義に基づいた複言語能力の育成に取り組んでいます。複文化主義、複言語主義は、多文化主義、多言語主義とは異なる考え方です。

複文化主義(pluriculturalism)とは、自分の中にも他者の中にもさまざまな文化が存在し、そのことを互いに認め合うという考え方です。多文化主義(multiculturalism)では、文化を国別、地域別にバラバラに分けて考えますが、複文化主義での文化能力―複文化能力(pluricultural competence)は、その人が体験してきたすべての文化的な事柄がまざりあって、一人の豊かな文化能力が作り上げられると考えます。このように考えると、ちがいがあることを受け入れ、ちがいが豊かさになっていると考えることができるようになります。たとえば、外国につながる子ども、おとうさんが日本人でおかあさんが中国人で日本の小学校に通っているロザちゃんを例に考えてみましょう。ロザちゃんが日本の文化にも属しきれないし、中国の文化にも属しきれないと考えて不安を抱えているなら、それは、多文化主義的な考え方です。これを複文化主義的に考えると、いろいろな文化が混ざりあって、ロザちゃんのアイデンティティが作られていると考えることができます。ロザちゃんが、学校では日本的なふるまい、おかあさんに対しては中国的なふるまい、おとうさんに対しては日本的なふるまいができることは、ロザちゃんの複文化能力によるものです。
複言語主義(plurilingualism)とは一人の人の中にはさまざまな特徴をもつ複数の言語能力が存在し、それらが相互に作用しあって、”その人の言葉”を築き上げているという考え方です。多言語主義(multilingualism)では、各言語能力が独立してバラバラに存在し、母語以外の言語能力は習得途中で不完全なものと考えますが、複言語主義での言語能力―複言語能力(plurilingual competence)は、その人の言語能力は、母語と部分的な言語能力が、相互に関係しあいながら存在し、その人の言語を形成していると考えます。こう考えることで、自分の言語能力、他者の言語能力を受け入れることができるようになります。ロザちゃんの例で考えてみましょう。ロザちゃんの言語能力は中国語、日本語で等しくありませんが、両方を使い分けてコミュニケーションを図っています。おとうさんと話すときは日本語、おかあさんと話すときは中国語、学校では日本語、中国のおばあちゃんと話すときは中国語で話そうとするのは複言語能力によるものです。複言語主義による複言語能力とは、相手への配慮、円滑な目的達成などを考えて、ことばを使い分ける能力で、完全に使いこなせるかどうか(多言語主義による多言語能力)という考え方とは異なるものです。このように考えることができれば、自分の言語能力を受け入れることができるようになり自分のアイデンティティを尊重することができるようになるとともに、他者の言語を受け入れることができるようになり、他者のアイデンティティを尊重することができるようになります。
私は、複文化主義・複言語主義による考え方が多文化共生社会をつくっていく上で大切な考え方だと考えています。
 
日本語教室の小径に関する記事一覧 (tokyofuji.com)
 2021/10/29 J.K.

6回 ひらかれた日本語のためにー「やさしい日本語」という考え方

 
  20206月末現在日本に住む外国人の数は約 288万人です。コロナ禍にあって、 2019年末より約 5万人( 1.6%)減少しましたが、これは 30年前の 1988年の約 3倍です。人数の増加とともに、日本に住む外国人の出身国籍の多様化が進んでいます。
  1988年には全体の 7割が韓国・朝鮮でしたが、 2020年には中国、韓国、ベトナム、フィリピン、ブラジルの 5か国を合わせて全体の 7割になりました。彼・彼女たちの出身国の公用語は 5言語です。これに6~ 10位のネパール、インドネシア、台湾、アメリカ、タイを加えると、出身国の公用語は 9言語になります。英語が公用語ではない国・地域が 8か国・地域です。英語が公用語なのはアメリカとフィリピンだけです。ですから、日本に住む外国につながる人のために「英語に訳せばわかりやすい」という考え方は、変えていく必要があるのです。
 これらの外国人が日本人と対等な市民として生活し、多文化共生していくうえで、地域社会の共通言語となるのは、「やさしい日本語」です。このひらがなで書く「やさしい」には、文法・語彙がわかりやすく「易しい」という意味と、対等な人として多様性を受け入れようという「優しい」という意味がこめられています。
 「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」には、行政文書・報道で使われる文から、ステップ1で日本人にわかりやすい文へ、さらにステップ2で外国人にわかりやすい文へどうやって変換していくか基本的な方法が示されています。そして、実際の返還例が示されています。わかりやすい文への変換の基本は
  1. 簡単なことばを使う
  2. 漢字には振り仮名をつける
  3. 外来語を使わない
  4. 単文を使う
  5. 長い文章は箇条書きにする
  6. あいまいな表現をさけ、明確に述べる
です。
たちかわ多文化共生センターでは、この「やさしい日本語」を使って情報を発信しようと、「やさしい日本語」についてみんなで学び続けています。
20191月には、庵功雄さん(一橋大学国際教育センター教授)をお招きして、多文化共生のひろ
ばで「やさしい日本語お願いします」という講演会をしました。
20211212日の文化共生のひろばでも、志賀玲子さん(東京経済大学特任教授)をお招きして、「やさしい日本語お願いします 実践編」という講演会を行います。
 「やさしい日本語」を身に付け、多文化共生社会を創っていきましょう。
 
参考文献
出入国在留管理庁・文化庁( 2020)「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」
庵功雄 (2016)『やさしい日本語 多文化共生社会へ』岩波新書
庵功雄・志賀玲子・志村ゆかり・宮部真由美・岡典栄 (2020)『「やさしい日本語」表現辞典』丸善出版
 2021/10/11 J.K.

5回 『外国人市民のための相談会』の根底にある理念

 
日本において多文化共生は次のように定義されています。「多文化共生とは国籍や民族の異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」(総務省「多文化共生の推進に関する報告書 地域における多文化共生の推進に向けて」( 20063月)

相談会場への案内

 
ここには日本人市民も外国人市民も『ともに地域社会を支える主体』であるという願いが込められています。「外国人は支援を必要とする人」というパターナリズムの考え方から、「ホスト社会とは異なる資源をもち、ホスト社会に住む人とともに社会を創っていく人」というエンパワメントの考え方に変わっていこうという信念が主張されています。『共に地域社会を創っていく』という『包摂』(ほうせつ: inclusion)の考え方です。
 その考え方にたって、東京都は、名前には『支援』を使っていますが、『共に創っていく市民』のための『外国人のための無料専門家相談会』を行ってきました。毎月、東京都の多文化共生に関係する団体が、 2326市のどこかで行っている(リレー形式で行っている)ので、『リレー相談会』と呼ばれています。日本社会に溶け込もうとして溶け込めないでいる外国につながる人を、リレー形式で支えようという東京都の試みです。たちかわ多文化共生センター(TMC)も設立時から東京都のリレー相談会にかかわり、 2021年度は『第 19回外国人のための無料専門家相談会』を行うことになっています。期日は 2021102日(土) 1000から 1530です。今年はコロナ禍にあって、予約形式で相談会を行うことになっています。相談がある方は、ぜひ、TMCにご連絡ください( 042―5270310)。
 この相談会では、弁護士・行

相談マッチング確認

政書士・社会保険労務士・税理士などの専門家が、外国につながる市民の問題に解決するため、無料で『問題』を聴き、解決の方向を見出します。ことばの壁を越えるために、TMCの通訳ボランティアが、外国人市民の『問題』を日本語に通訳(表現)します。ボランティア通訳者は、外国人市民の『問題』に寄り添って、外国人市民が『共に地域社会を創っていく市民』として生きていくことができるように、サポートしていきます。そして専門家は、『問題』を解決していくための法的処理を行う専門家としての役割を果たします。
 根底にあるのは、『共に地域社会を創っていこうという意志』、『違いを受け入れようとする寛容性』、そして、『だれもが自由に生きる権利があるという人権意識』です。
 このほかにもTMCは毎週土曜日(午後 100400)に『外国人およびその関係者のための無料相談窓口』を立川市女性総合センターアイム 5階で行っています。
 外国につながる方々の『問題』が解決され、外国につながる方々が『共に生きていく市民』として笑顔になれることを念じて、TMCのメンバーは歩み続けています。
 2021/09/25 J.K.

4回 立川市の外国人児童・生徒へのコミュニケーション支援・生活支援

 

見事に咲いた彼岸花

立川市における多文化共生への取り組みは、基本的に、総務省の枠組みにそって、 .外国人市民のコミュニケーション支援、 .外国人市民の生活支援、 、多文化共生の地域づくり、 、多文化共生の推進体制の整備、という枠組みで行われています。 2005年から 2019年までの 15年間に立川市は第 13次の多文化共生推進プランを重ねてきました(各プランは 5年間)。
 立川市は、第4次多文化共生推進プラン( 2020年度 ―2024年度)検討会議委員による審議を経て、 2020年6月に立川市第 4次多文化共生推進プランを発行しました。この委員会は、市民公募、多文化共生にかかわる団体推薦による委員(基本的に日本人委員・外国人委員のバランス、男性・女性のジェンダーバランスを考えたメンバーからなる) 10名からなる委員から構成されました。
 委員は、仕事をもっている方たち、多文化共生の推進を願っている方たちで、ボランティアです。委員会は、仕事が終わってからの時間帯、午後 7:00から 9:00までで、 2019年(令和元年)5月から 11月まで 8回の議論が重ねられました。
その中で重点項目となったのが『外国人のための日本語教室の開催』です(立川市第 4次多文化共生推進プラン、令和 2年( 2020)年立川市、 p.20)。これは 、『外国人市民のコミュニケーション支援』として位置づけられています。
『日本語が話せずに困っている外国人に日本の習慣などを教えることにより、慣れない日本での生活上の負担を軽減する。特に小・中学校に通学している児童・生徒の支援を検討する。また、日本語教室で日本語を教えるボランティアの育成をする』

朝顔の小径遠望


日本語が話せずに困っている外国人児童・生徒に対して日本がどう取り組んでいくかについては、これからの『移民社会日本』をどう形づくっていくのかに関わる根幹の課題です。多文化共生事例集(総務省令和 38月)でも、日本経済新聞の記事( 2021年9月 15日)でも取り上げられ、市民がいかに関心をもって行動していくかが問われています。
立川市第 4次多文化共生推進プランの『外国人のための日本語教室の開催』に向けて、たちかわ多文化共生センター( TMC)は具体的な取り組みを始めています。多文化共生に関わる他団体とつながって、「立川市の外国につながる子どもたちの生活日本語能力( BICS)をつけ、誇りをもって立川市の市民として生きる力を育てたい」と、たちかわ多文化共生センターは考え、具体策を検討しています。
2021/09/19  J.K.

カモの遊ぶ小川

カモが楽しく遊ぶ小川

豊かな清流

3回 多文化共生ってなんだろうー同時多発テロから20年目の日にー

 
きょうは、 2021911日同時多発テロから 20年目の日でした。アメリカ合衆国はあの日、亡くなられた方たちの名前を読み上げ、追悼の意を世界に示しました。
  20年前の同時多発テロは、異文化を理解することは難しいことを、つきつけてくれました。それは「多文化主義」に対する挑戦でした。イスラム社会と資本主義社会の対立はどうして起こったのでしょうか。イスラム社会は、自爆テロと言う形で、何を表現したかったのでしょうか。
 私は、世界貿易センタービルのあった場所、グラウンゼロにたって、そのことを考え続けてきました。イスラム原理主義は、「多文化共生」の難しさを表現したからです。
  1970年代から 2000年代の「移民」(欧州では移民の定義は「外国で生まれた人」)政策を見てみると4つの段階に分けることができます。
 

彼岸花の小径

1段階は「ノンポリシー」、移民がいても何もしない段階です。
第2段階は「ゲストワーカ ポリシー」。移民は労働者としては受け入れますが、いずれ帰っていく存在と考えます。移民を「デカセギ」のよそ者として考える段階です。
3段階は「同化政策」。移民を定住する存在として認めますが、文化的存在としては認めない段階です。移民の「文化」を捨てて、ホスト社会に同化することを認める段階です。
4段階は「多文化主義」と呼ばれる段階で、移民を永住する存在として認め、かつ、文化的アイデンティティを認める段階です。
 
私たちは、他者の価値観を認めています。文化的アイデンティティも認めてます。でも「認める」だけでは十分ではないのです。
その次の第5段階の「多文化共生」の段階が必要なのです。「多様性」を認めたうえで、それを「包摂」する社会。包摂(ほうせつ、 inclusion)とは、文化的多様性を認めたうえで、「対話によりともに生きる市民として共生社会を創り上げていく段階です。同じ市民として、一体感をもって、「義務」も「責任」も果たしていく社会ですす。
 
包摂 (ほうせつ: inclusion)とはなんでしょう。だれもが仲間であると感じられる「やわらかなまなざしの社会」、「一人ひとりが市民として責任を果たしていく社会」、そのような「多文化共生社会」を目指して、TMCは、歩みを続けています。
 2021年9/11 J.K.

第2回 立川市多文化共生都市宣言

 
2016年12月19日、私たちTMCが活動する立川市は「多文化共生都市宣言」をしました。市民の提言が立川市議会で取り上げられました。そして『多文化共生推進プラン検討委員会議』で議論されました。そして市議会の審議を経て、宣言が行われました。

わたしたちは、国籍や民族や文化の違いを互いに尊重し、共生する地域社会の実現を目指して、ここに立川市を「多文化共生都市とすることを宣言します。
1. 思いやりの心をもって、互いの文化を理解し尊重します。
1. 国際的な視野を持ち、みんなで協力して、多文化共生のまちをつくります。
1. ともに地域社会の一員として、笑顔で交流します。
1. やさしい気持ちで人や文化を受け入れ、多文化共生の輪を広げます。

 「多文化共生推進会議」では、「思いやり」「みんなで協力」「笑顔」「やさしい気持ち」ってなんだろう?と話し合いながら、この宣言文を考えました。
 TMCはこの宣言文を大切にしています。
TMC『語ボ』はこの宣言文を14言語に訳しました。そして、『14言語で綴る「立川市多文化共生都市宣言』」を発行しました。
「NPO法人たちかわ多文化共生センターでは、この宣言文をできるだけたくさんの言語に訳して、多文化共生の精神を世界につながる人々と分かち合いたいと考えました。ここに、TMCのボランティア翻訳者、および、立川市に関わる外国につながる人たちが協力して14か国語で綴る『立川市多文化共生都市宣言』を発行することができました。ご協力いただいたボランティア翻訳のみなさまに感謝いたします。
 
2017/9 NPO法人たちかわ多文化共生センター
 
 参考
※14か国語とは: 日本語、英語、中国語、韓国朝鮮語、タガログ語、フランス語、ネパール語、ポルトガル語、スペイン語、ロシア語、フィンランド語、マレーシア語、タイ語、ベトナム語です。

第1回 ―多文化共生という生き方―

 
 たちかわ多文化共生センター(TMC)は、2001年に創られました。そして2002年にNPO(Nonprofit organization:特定非営利活動法人)となりました。20年がたちました。たちかわに集まる人びと(多文化の人びと)が、共に生活者として生きていくことを目指して、「たちかわ多文化共生センター」という名前にしました。
   2021年現在、『会員』は80名、このうち外国につながる方(日本に帰化した人を含む)が約15名います。会員の約20%です。多文化共生への意志がある方は、だれでも会員になることができます。会費は3000円です。
 また、翻訳・通訳を通して多文化共生したい方は『語学ボランティア』(語ボ)になることができます。 2021年現在、『語ボ』は69人、このうち外国につながる方が15名います。『語ボ』の約20%です。言語は11言語です。中国語21人、英語25人、スペイン語5人、ポルトガル語4人、ハングル8人、ロシア語3人、タガログ語3人、タイ語1人、インドネシア1人、フランス語1人、ドイツ語1人です(2言語の語学ボランティアもいます)。どの『会員』『語ボ』も、多文化共生へのこころざしをもって、自分にできることは何かとさがしながら、多文化共生の小径を、楽しんで、歩んでいます。
 わたしたちが多文化共生の小径を歩み続けてきたこの20年のあいだに、『多文化共生』ということばを使う人が多くなりました。『多文化共生』ってなんだろう?と興味をもつ人も増えました。多文化共生を生きようとする人も増えました。
 みなさん、わたしたちといっしょに「多文化共生」という生き方をしませんか。手をつないで歩み続ける人たちが増えることが、私たちのこころからの願いです。
 
2021/09/08  J.K.

多文化共生の小径 リスト

はじめに多文化共生へのいざない
第24回 立川市2012ー2021多文化共生のあゆみ
第23回TMC20年のあゆみ⑦防災
第22回TMC20年のあゆみ⑥幼少期からの多文化共生意識の啓発
第21回TMC20年のあゆみ⑤多文化共生の地域づくり
第20回TMC20年のあゆみ④生活支援
第19回TMC20年のあゆみ③コミュニケ―ション支援
第18回TMC20年のあゆみ②立川市多文化共生都市宣言
第17回TMC20年のあゆみ①立川市にかかわる多文化共生団体
第16回 2年ぶりに留学生が少しずつ戻ってきました!
第15回  外国につながるこどもたちの日本語教育を考える ③「ことばの力」とは
第14回  外国につながるこどもたちの日本語教育を考える ②「書く」動機づけ
第13回  外国につながるこどもたちの日本語教育を考える ①支援者の基本的な姿勢―寄り添う姿勢
第12回  阪神淡路大震災から27年目の日にー災害時のやさしい日本語
ー移民統合政策指数(MIPEX)
第11回  日本に住む外国人への教育政策の課題
ー移民統合政策指数(MIPEX)
第10回  外国人の社会統合政策の課題
ー移民統合政策指数(MIPEX)
第9回    都立立川国際中等教育学校・付属小学校
第8回 「安全を保つための閉じた社会」から「安全を保ちながら開かれた多文化共生社会」へ
第7回 多文化共生社会の実現のために―複文化主義・複言語主義という考え方
第6回 ひらかれた日本語のためにー「やさしい日本語」という考え方
第5回 『外国人市民のための相談会』の根底にある理念
第4回 立川市の外国人児童・生徒へのコミュニケーション支援・生活支援
第3回 多文化共生ってなんだろうー同時多発テロから20年目の日にー
第2回 立川市多文化共生都市宣
第1回 多文化共生という生き方

TMCへのアクセス


特定非営利活動法人 たちかわ多文化共生センター
東京都立川市錦町 3-3-20 たましん RISURUホール 5階
/FAX  042-527-0310
mail:  tmc@poppy.ocn.ne.jp
JR西国立 徒歩7分  JR立川駅 徒歩13分